ヨウ素が使われるレントゲン造影剤(ヨード造影剤)とは

ヨウ素といえばペロブスカイト太陽電池の資源かつ日本国内で生産できる資源として注目を浴びていますが、それがなくても注目される資源でもあります。

ヨウ素の主要用途をおさらい

ペロブスカイト太陽電池が開発段階である2024年現在において、ヨウ素の一番使われているのはレントゲン造影剤です。

照:K&Oヨウ素

K&Oエナジーの調査では22%、伊勢化学工業の調査では26%となっています。

レントゲン造影剤とは

レントゲン造影剤には大きく2つあります。飲む造影剤と注射する造影剤です。

飲む造影剤で有名なものはバリウムで、注射する造影剤のうちCTで使用するのがヨード造影剤、MRIで使用するのがガドリニウム造影剤です。

ヨード造影剤もガドリニウム造影剤も静脈注射によって投入します。

そもそも造影剤とは臓器の状態を見やすくし診断精度を上げるためのものです。X線の特性上、造影剤なしで撮影すると臓器ごとの白黒の違いが少ないところを、造影剤を使って白黒のコントラストを上げることで見やすくなります。

ヨード造影剤の需要

ヨウ素はレントゲン造影剤のうち、ヨード造影剤に使用されています。

ヨード造影剤1mlあたりの原薬量はヨウ素換算で300mgで、一般的なCT造影(100ml)で30gほどのヨウ素が使用されています。

ヨウ素の生産地

ヨウ素の生産地は1位がチリ(64%)、2位が日本(27%)です。資源小国の日本で珍しく生産できるのがヨウ素です。

その中でも生産の80%が千葉県にあります。有名な企業でいうと伊勢化学工業、K&Oエナジー、合同資源です。

千葉県の外房には「南関東ガス田」と呼ばれる国内最大のガス田があります。

ガス田って関係なくない?

天然ガスを採取する際に汲み上げられる地下水(かん水)からヨウ素を製造することができるため、南関東ガス田がある千葉県にヨウ素生産量が偏っているのです。

チリの場合、鉱石になっているようなので採取しやすいみたいですね。

ヨウ素の需給

天然資源であるヨウ素は生産が厳しく制限されていることに加えて(供給の制約)、中国や新興国の経済成長と画像診断装置の普及(需要の上昇)により、ヨウ素価格は上昇傾向にあります。

実際に世界の造影剤検査数は2010年から2018年で2.5倍に増加しています。

ペロブスカイト太陽電池が量産体制になると、需給はさらにひっ迫しヨウ素価格は上昇することになるでしょう。

ヨード造影剤からヨウ素をリサイクル

前述のように大切な資源であるヨウ素。生産だけでは難しいのでヨウ素リサイクルが行われています

たとえば使い切れずに廃棄されてしまうヨード造影剤の残液を回収して要素を取り出し再利用します。

日本では生産量の約半分が再利用に回っているとのことです。しかし世界的には18%しか再利用されていないのが実情でヨウ素リサイクルには課題が残っているのが実態です。

ヨウ素リサイクルでは合同資源株式会社が強く推進しています。同社が持っているヨウ素リサイクル関係の特許

  • 沃素の回収方法
  • 揮発性有機ヨウ素化合物から沃素の回収方法
  • 偏光性フィルム製造廃液からのヨウ素回収方法
  • 偏光フィルム製造薬液の循環使用方法およびシステム
  • エチレンカーボネート製造廃液からの原料回収方法およびシステム

ヨードの価格推移

実際にヨウ素の価格は上昇基調にあります。日本企業の場合、円安も重なってかなりの利益貢献をしている形になります。

ヨウ素の販売価格推移

参考サイト

ヨード造影剤の現状と未来

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