【銘柄分析】日本精工

企業理解

日本精工株式会社は、日本を拠点とする大手のベアリング専業メーカーであり、国内1位世界4位のシェアを誇っています。1916年に設立され、日本で初めてベアリングの製造を開始したことでも知られています。「NSK」というブランド名で、精密機械の部品や関連技術を提供しています。

ビジネスモデルの特徴

ベアリング業界で世界3位、日本1位

単位
(億円)
2020年
3月期
2021年
3月期
2022年
3月期
2023年
3月期
2024年
3月期
売上高8,3107,4768,6527,7687,889
営業利益23664294438274
 (率)2.8%0.9%3.4%5.6%3.5%
税引き前利益24159295433262
 (率)2.9%0.8%3.4%5.6%3.3%
当期利益174416618485
 (率)2.1%0.0%1.9%2.0%1.0%

海外売上比率60%以上

国内の売上は30%強で海外売上比率が60%以上とかなり高めの企業になります。円安には為替貢献が高い一方、円高になると為替のマイナス影響が強く発生します。

2023年3月期2024年3月期
売上比率売上比率
日本268,22235%271,09634%
米州130,81117%144,40518%
欧州103,65013%108,05114%
中国163,15521%154,23620%
その他アジア110,92214%111,07714%
合計776,760100%788,865100%
単位:百万円

しかし、大手でもあることから価格転嫁力が強く、インフレや賃金上昇のコスト増を売価転嫁にて相殺するところが強みといえるでしょう。

景気循環の影響を強く受ける

景気の循環を大きく受ける業種であり、その変動で収益目標も変化させています。

マーケット前提の資料では「工作機械受注金額」「半導体製造装置需要」「グローバル自動車生産台数」が使用されています。

ちなみに中国経済の減速が強く見込まれていることもあり、下方修正をしています。

EV化率を高めることが課題

自動車において日本精工のベアリングはエンジン回りで使用されることが多いため、世界的なEV躍進は同社にとっては向かい風であったといえるでしょう。

普通のガソリン車の場合、1台当たり100~150個のベアリングが使用されている。このうちの3割が変速機といわれている。

EVの場合、この変速機が不要のため単純計算でその分のベアリング数が減るということです。

2022年-2023年にはこれを理由にベアリングメーカーの前途は暗かったが、最近では多くの自動車メーカーがEV目標を延期したり断念しています。

ボルボがEV専業化の目標を撤回のニュースはこちら

世界的なハイブリッドの流れがあるのは短期的にはベアリングメーカーへ追い風です。ハイブリッドの場合、エンジンとモーターの両方を搭載しますからね。

とはいえ、EV車はゆるやかに増えていくでしょうからEV比率上昇は将来の事業安定のカギになると思われます。

実際、EVになってもなくならないドライブシャフト周りのハブベアリングの新商品を2024年9月に発表しました。

ハブベアリングは競合のNTNが世界1位のシェアなのでこの商品の売れ行きはひとつ重要なポイントですね。

「低フリクションハブユニット軸受」を新開発

重要指標

日本精工は重要指標を次のように定義しています。

  • 売上高
  • 営業利益
  • 営業利益率
  • ROE

営業利益率とROEの改善指標が大きなハードルのように感じますね。社内の構造改革を実現できるかがかぎです。

割安判定|PBRとPER

PBRはここ数年は1倍割れが続いています。2020年に一度1.05倍になりましたが、それを除くと2018年から1倍割れとなります。

直近では0.5程度になっています。

PERはコロナ化の一時的な状態を除けば、ここ数年は15倍以上を超えており割安とまでは言えない状態です。

配当方針

配当推移

累進配当ではありません。コロナでは配当を大きく下げましたが、それ以降は着実に配当を増やしてきています。

今期は2018年につぐ34円と復活の兆しを見せています。

2018年は3.86%に対して、今期は4.8%程度と期中での増配の可能性もありえますね。

DOE採用「あり」

日本精工は今期よりDOEを採用しています。DOEの建付けは下限値として採用されています。

配当性向30~50%に対して下限値としてDOE2.5%を採用しています。

配当性向

中期経営計画において配当性向30~50%を目標に掲げていま鵜。

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